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Poem

死人創作SS

 愛敬さんがだるそうにリビングのソファで突っ伏している。寝てるのかな。いくらタンクトップ一枚っていっても、夏で気温も高いし、暑いのが苦手な愛敬さんはつらいんだろうなあ。
 一応クーラーはついているけれど、それでもやっぱり暑い。他の人たちもそれぞれ部屋で休んだりしているみたいだけど……。愛敬さんの部屋は日当たりよくってすごく暑いって前に言っていたっけ。
 そういう私も暑くて今日は薄手の浴衣を着て袖などはたくし上げている。浴衣は風通しがいいから普段はそこまで暑くならないのに、今日はとっても暑い。そういえば今朝、エミリアさんが今日は真夏日だって言っていた気がする。ちょうどお昼になるころだから、太陽の位置も今が一番高いくらいかな。早く午後になってしまえばいいのに。

「腹、減った……」
「わっ」

 起きていた。

「愛敬さん起きていたんですね。てっきり、その、寝ているのかと」
「寝てた……今起きた……」
「あっ、そうなんですか」

 ぎゅるるるるるる

 愛敬さんのお腹から大きな音が鳴る。

「ほんとにお腹すいちゃっているんですね。何か食べますか?」
「おう……メシ……」
「希望とかありますか?」
「ニンゲン……」
「む、無茶言わないでください。っていうか、元々人間なんか食べないじゃないですか」
「冗談だって……なんでもいいわ。頼んだ」
「ふふ、わかりました。ちょっと待っていてください」

 何がいいんだろう。愛敬さんが好きそうなもの……なんだろう。夏だし、冷たいものがいいな。あ、私も一緒にお昼食べようかな……一緒に食べても怒らないかな。そうだ、冷蔵庫にうどんあったはずだし、サラダうどんとかにしよう。
 冷蔵庫を適当にあさって、野菜を何個か取り出す。トマトやきゅうり、レタス、水菜、あるものを何個か。ついでに鶏肉と梅干もあったから使うことにした。
 うどんをゆでながら野菜を刻む。そこまで料理は得意ではないけれど、これくらいならできるつもり。愛敬さんは好き嫌いがほぼなくてなんでも食べてくれる。私が作ったものだからそこまでおいしくはないと思うけれどやっぱり嬉しい。
 お皿に盛りつけてつゆをかけて、どうぞ、とテーブルのほうへうつった愛敬さんの前に差し出す。一言、いただきます、と言って彼はズルズルと食べ始めた。愛敬さんは体も大きいからすごくよく食べる。しかも早い。テーブルの向かいに座って私も一緒に食べ始めたけど、私がやっと半分食べる頃には愛敬さんは食べ終わっていた。

「おかわり、いりますか?」
「おう……食う。さんきゅ……」

 はい、とお皿を受け取って台所へ行く。後ろから愛敬さんがあっちぃ、とつぶやくのが聞こえた。すると、リビングのドアが開く音がした。

「おア~なァに薫ちゃんだけご飯食べてんの? ロジャーくんも食いたいですけど?」

 わ、ロジャーさんか。いきなりで驚いてしまった。

「ロジャーさんも食べますか? もう少し残ってますけど」
「えっちゃんこんなのにメシとかいいから……俺にその分くれ」
「は!? なんで薫ちゃんが断ンの? 悦子ちゃァん、オレも食べる。くれ!!!」
「ふふ、わかりました。ちょっと待ってくださいね」
「うぃ~」

 お皿をもうひとつ取り出してまた盛りつける。愛敬さんとロジャーさんで半分にしてちょうどなくなった。

「はい、どうぞ」 「お~、あンがと~悦子ちゃんの料理食うのめッちゃ久しぶりな気がするあ」
「あはは、私あんまり作らないですからね……」
「おいしいからもっと作りゃいいのにィ~。なっ」

 愛敬さんのほうをロジャーさんがぱっと振り向く。麺をすすりながらだったから、ぴっとつゆが愛敬さんのほうへ飛んだ。

「てめぇなぁ……」
「ごめんて」
「しね」
「あン」

 仲良さそうでいいなぁ……。そう思いながら私は自分の残りを食べた。ふたりはそのあとずっと仲良さそうにしゃべりながら食べていて、食べ終わったあとはごちそうさま、と言ってくれた。

「えっちゃんメシありがとな……マジ助かったわ」
「いえ、気にしないでください。あんまりちゃんとしたものじゃなくてすみません」
「そんなこと普通にうまかったし……ありがとな。ごちそさま」
「悦子ちゃんあンがと! またロジャーにも作ってね~」
「はい、機会があれば」
「おォ~」

 そうしてふたりはリビングを出てどこかへ行ってしまった。私も、早く後片付けしてゆっくりしよう。暑いし、早めにお風呂にも入りたいな……。ふう。夏はあんまり好きじゃないけれど、少しいいかもしれない……。
真夏日の昼食


登場キャラクター
中野井悦子
愛敬薫
ロジャー=ヴェストマン



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